今回はミツバチのことを書きます。
オスとメスの比率の話です。
巣箱の中にはオスとメスのどちらが多いのか、そもそも雌雄はどうやって決まるのものなのかということを説明します。
ミツバチのオスとメスの割合
ミツバチの世界ではオスとメスはたまたま決まるものではなく、卵の段階で決まっています。
有精卵だとメス、無精卵だとオスになります。
そして、有精卵と無精卵は女王蜂が産み分けることができます。
産み分けられるのなら男女比は同じくらいになりそうなものですが、そんなことはありません。
オスの数は圧倒的に少なく、自然な状態でのオスの数は巣の中の1割くらいだと言われています。
残りはすべてメスなので、男女比でいうと圧倒的にメス優位な社会、それがミツバチの世界になります。
ちなみに働き蜂はすべてメスです。
オスの働き蜂はいません。
ミツバチのメスは働き蜂と女王蜂で、オスは雄蜂(おばち・おすばち・ゆうほう)と呼ばれて働き蜂とはまったく別の存在になっています。
ここまでの話を聞いて、メスが多くていいな・・・ と思う男性陣もいるかもしれませんが、勘違いしてはいけません。
なぜなら、交尾するのは女王蜂だけだからです。
女王蜂は1匹だけで、大多数を占める働き蜂が交尾をすることはありませんので、男女の関係においては女子一人に多数の男子が群がるという社会なっています。
まあ、男女の関係においての比率はさておき、全体の数からすると少数派であるのは間違いないミツバチのオスですが、養蜂家が飼育している場合、その数はさらに少なくなります。
というか、ほぼゼロです。
巣箱の中にオスはほとんどいません。
女王蜂ほどではないですが、オスはかなりのレアキャラです。
なぜなら、養蜂家はオスを作らせないようにしているからです。
女王蜂はどうやってオスとメスを産み分けるのか
オスを作らせないようにする、そんなことができるのかと思われるかもしれませんが、飼育されているミツバチなら可能です。
それは女王蜂がどうやってオスとメスを産み分けているかを知ることで可能になります。
雌雄が決まるのは有精卵(メスの卵)かそうでないか(オスの卵)なのですが、そもそも女王蜂は何を基準にどちらの卵を産むかを決めているのかという話です。
女王蜂は何を基準にしているのでしょうか?
その答えは・・・
卵を産みつける部屋の大きさです。
ミツバチの巣は「巣房(すぼう)」と呼ばれる六角形の部屋がたくさん並んでできています。
女王蜂はその部屋の大きさによって、オスの卵を産むかメスの卵を産むかを決めているのです。
雄蜂は働き蜂よりガタイがいいので、育てられる部屋もだいぶ大きくつくられています。
女王蜂は卵を産む前にその「部屋の大きさの違い」を見極め、大きめの部屋にはオスの卵、小さめの部屋にはメスの卵(働きバチの卵)を産みつけていくのです。
だから、オスを作らせないようにするためには、ミツバチに大きめの部屋を作らせないようにすればよいということになります。
大きめの部屋を作らせないようにする、これは巣礎(すそ)と呼ばれる養蜂グッズを使うことで可能になります。
巣礎はミツバチが巣を作るときの土台となるもので、蝋(ろう)で作られたシート状のものです。
シートには六角形の型が押してあり、ミツバチはその型に沿って蜜蝋を盛り上げて部屋を作っていきます。
なので、巣礎の型押しをすべて小さめの部屋(働き蜂の部屋)にしてしまえば、ミツバチはオスがつくれなくなるという話です。
たいていの養蜂家はこの巣礎を使ってオスを作らせないようにしています。
なぜかというと、オスは働かない(蜂蜜とってこない)からです。
役に立たないメンバーは排除して役に立つメンバーだけを揃えようということで、巣礎を使って巣箱の中をメス(働き蜂)だらけにするのです。
まあ、オスが煙たがられる理由は他にもあるのですが、話が長くなるのでそれはまた今度にします。
かくして養蜂家が飼育しているミツバチはオスがほぼいないという状況になっています。
*巣礎を使っていても、ミツバチは巣礎がないスペースを見つけてこっそり雄蜂を育てるので、巣箱の中にオスがゼロということはありません。
ちなみにこれは飼育されているセイヨウミツバチのはなしで、ニホンミツバチの場合は飼育下でもたいてい巣礎をつかわないので、オスとメスの比率はナチュラルになります。
まとめ
ここまでの話をまとめると
- ミツバチは有精卵がメスで無精卵がオスになる
- 女王蜂は有精卵と無精卵を産み分けられる
- 産み分けの基準は部屋の大きさ
- 自然な状態でオスは全体の1割程度だが、飼育環境下ではほぼいない
こんな感じになります。
以上、ミツバチのオスとメス、雌雄(しゆう)の割合の話 でした。
では、また ^ ^