今回はミツバチのことを書きます。
煙の話です。
養蜂家がミツバチに煙をかける理由を業界に伝わるお話をベースに説明していきます。
養蜂家が煙を使う理由
養蜂家はミツバチに煙(けむり)をかけます。
これにはいくつかの目的があるのですが、一番はミツバチに「どいてもらうこと」です。
ミツバチは煙をかけられると、アタフタしてその場所から立ち去ろうとします。
なので、巣箱の中をチェックするときやハチミツを採るとき、その場所にいて欲しくないなと思ったときに煙をかけています。
では、なぜミツバチは煙をかけるとどいてくれるのでしょう?
これには面白い説があります。
それは古来より養蜂界にまことしやかに伝わるお話で、「ミツバチが煙を山火事だと勘違いする」というものです。
野生のミツバチは樹木のウロや洞(ほら)に巣をつくります。
そんな彼らにとって山火事は巣を失う大ピンチです。
なので、ミツバチのDNAには「煙 → 山火事 → 危険 」と刻み込まれていて、煙で危険を察知したミツバチは巣から逃げ出す準備をはじめるので「どいてくれる」というのです。
逃げ出す準備とは、「ハチミツを食べる」ことです。
ハチミツは彼らにとって貴重品です。
春からチビチビと貯め込んできた財産なので、火事のときにはいちばんに巣の外に持ち出そうとします。
そして、ミツバチが液体であるハチミツを移動させるためには、お腹にしまわないといけません。
だから、持ち出す準備としてハチミツを食べ始めるのです。
花の蜜をあつめてくるときと同じことですね。
要は、煙をかけられたミツバチは「山火事だと勘違い」して「ハチミツを食べに行く」ので「どいてくれる」という話です。
おもわず「ホントかよ・・・!?」と言いたくなると思いますが、実際にミツバチに煙をかけると巣房にアタマを突っ込んでハチミツを食べ始めるやつがいるのは確かです。
なので、「煙をかける → ハチミツを食べる」のは事実です。
まあ、煙をかけられたミツバチすべてがそうかというと違うのですがね。
とはいえ、ハチミツを食べていないミツバチも慌てふためいてオロオロしている感じがするので、山火事と勘違いするっていうのは、あんがい本当の話なのかもしれません。
煙の効果
ミツバチに煙をかける理由はどいてもらうためで、煙はミツバチに山火事を連想させて避難行動をとらせるのだよ・・・ という話なのですが、実はこの話には続きがあります。
それは、「ミツバチはお腹がいっぱいになると人を刺さなくなる」ということです。
なぜだかわかりますか?
ふくらんだお腹が邪魔して人に毒針を向けられないんだそうです。
ミツバチの毒針はおしりの先についています。
なので、人を刺すためには腰を曲げて毒針を突き立てないといけませんよね。
お腹がパンパンだと腰が曲がらずこれができなくなるから、人を刺さないという理屈です。
・・・ 。
山火事の記憶の話よりも「はあっ?」な話ですよね。
でも、人間でもお腹(おなか)のまわりにお肉がついてくると、お肉がじゃまをして足の爪を切りにくかったり、かがんで靴下を履きにくくなかったりする(もしかして、私だけ?)ので、個人的には100%否定はしきれないのですが・・・ 。
煙をかける → 山火事を連想する → ハチミツを食べる → お腹がふくれる → 腰が曲がらなくなる → 人を刺さなくなる
このなんだか風が吹いたら桶屋が儲かるみたいなお話は、養蜂の世界ではまことしやかに伝えられているお話です。
信じるか信じないかかはあなた次第です(笑)
まとめ
ここまでの話をまとめると
- 養蜂家がミツバチに煙をかけるのはどいてもらうため
- どいてくれる理由はミツバチが煙を山火事と勘違いするから
- 山火事と勘違いしたミツバチはハチミツを食べてお腹がいっぱいになって刺さなくなる
以上、ミツバチと煙(けむり)の話でした。
ちなみに煙には「どいてもらう」以外にも用途がありますが、それはまたこんど紹介します。
では、また ^ ^