今回はミツバチのことを書きます。
女王蜂の話です。
ミツバチの女王蜂がどのようにして決まるものなのかということを説明します。
女王蜂は選ばれるものではない
養蜂をしているとよく質問されることのひとつに、女王蜂の選ばれ方というものがあります。
「女王蜂は巣の中に一匹しかいないらしいけど、アレっていったいどうやって選ばれるの?」
というやつです。
きっと多数決やらで特別な能力を持っているものが選ばれると思われているのでしょうね。
最も優秀なものが女王に・・・ みたいなイメージです。
でも、実際のところはまったく違います。
なぜなら、ミツバチの女王蜂というのは「たまたまなるもの」なのだからです。
この「たまたまなる」という部分をわかりやすくするために、例え話をひとつ。
とあるラーメン屋があるとします。
めちゃくちゃうまいラーメンを出すので、お店の前にはたくさんの人が並んでいます。
各自、順番が来たらお店に入って空いている席に着いてきます。
で、ラーメンを食べるのですが、このお店には特殊なルールがあります。
まず、ラーメンは「ひとり一杯まで」しか食べられません。
おかわり禁止です。
どんなに食べたくても店員さんが二杯目を持ってきてくれることはありません。
でも、お店の中にはいくつか「食べ放題の席」が用意されています。
その席に着くと、店員さんが延々と食べたいだけラーメンを持ってきてくれます。
他の席ではどんなに食べたくても1杯しか食べさせてもらえないのに、その席に座った人だけはいくら食べてもOKなのです。
食べ終わったら次のラーメン、それも食べ終わったらまた次のラーメンと、心ゆくまで美味しいラーメンを食べることができます。
ただ、このラーメンはありえないくらいカロリーが高いです。
だから、ひとり一杯までと決められているのです。
結果として、食べ放題の席に座った人は他の人たちよりもだいぶ肥えてしまうことになります。
ちなみに、食べ放題の席に座るための資格や条件は一切ありません。
空席に順番で座っていったら、たまたまその席に当たったというだけです。
店員さんが「こいつは何か光るものがあるぞ・・・」と感じて、食べ放題の席に案内するわけでもないです。
その席に座るのは誰でもいいんです。
なんなら誰も座らなくても良い。
お店側のルールはシンプルに「その席に誰かが座ったら、好きなだけラーメンを食べさせてやれ」ってだけなので、誰もいなきゃいないで問題なしです。
こんな感じで、たまたま食べ放題の席に座って、他のやつらよりもたくさん食べてデカくなったのが女王蜂です。
女王蜂になるために必要なこと
というのも、女王蜂というのは働きバチと同じ卵から生まれるもので、その違いは幼虫時代に食べる「特殊な餌の量だけ」なのです。
生まれは一緒で、違うのは育ちだけってことです。
ちなみに特殊な餌というのは、卵から孵化した幼虫が最初に食べる餌です。
この特殊な餌がいわゆる「ローヤルゼリー」ってやつになります。
あのお高いやつですね。
女王蜂になる幼虫はローヤルゼリーをずっともらえるのですが、働きバチになる幼虫は最初しかもらえないんです。
そして、この差がその幼虫が女王蜂になるか働きバチになるかを決めるのです。
では、このローヤルゼリーをずっともらえる幼虫と途中でもらえなくなる幼虫の違いは何かというと・・・ 。
それは、育てられる「部屋」の違いです。
ミツバチの子どもは、それぞれ個室で育てられるのですが、その部屋のつくりが違うのです。
働きバチがいわゆる蜂の巣、六角形の部屋で育てられるのに対して、女王蜂のほうは王台(おうだい)という、特殊な部屋で育てられます。
王台は小指の先くらいの大きさで、重力方向(下向き)にビヨーンと飛び出すように作られます。
ちなみに働きバチの部屋はすべて重力方向に対して垂直(横向き)になっています。
まず、それぞれの部屋があり、そこへ先代の女王蜂が卵を産み付けていくので、産み付けられた後にその処遇が決められるわけではありません。
女王蜂があちこちに卵を産んで、たまたま王台に産み付けられた卵だけが女王蜂になるのです。
ただ、稀に選ばれることもあります。
それは、なんらかの事故で女王蜂が突然いなくなった場合です。
いわゆる緊急事態ですね。
この場合は、働きバチがすでにいる働きバチの幼虫の中から若い幼虫を選んで女王蜂にします。
その際の選別基準は・・・ 「若さ」以外は不明です(笑)
この辺は別記事女王蜂は「作られる」ものであるでも書いているので興味があったらどうぞ
こんな風に事故の場合は例外的に「選ばれる」という要素がでてきますが、普段は選ばれる感ゼロ。
並び順でたまたま其処(女王蜂の部屋)にあたったやつがなる。
こんな感じで決められるのがミツバチの女王蜂です。
以上、ミツバチの女王蜂はどのようにして決まるものなのかという話でした。
では、また ^ ^