今回はミツバチの話。
ミツバチのお尻についている毒針がどんなものなのか、刺されたときの対処法を含めて養蜂家目線で説明します。
ミツバチがもつ毒針の特徴と対処法
ミツバチは刺すと自分も死んでしまう・・・ これはよく知られた話だと思います。
でも、これって働きバチだけに当てはまることで、女王バチと雄バチには関係ありません。
それに毒針を使う相手にもよります。
そんな意外と知らないミツバチの針のことを、働きバチ、女王バチ、雄バチの3つに分けて説明していきたいと思います。
働きバチの針
まず、働きバチの持つ針です。
これには返し(かえし)というトゲトゲがついていて、刺さると取れないようになっています。
そのおかげで相手にたっぷりと毒を送ることができるのですが、針が抜けないので、刺した本人(蜂)は針が内臓ごとひきちぎれて死ぬことになります。
よくいうミツバチは針を使うと死ぬ・・・ というのはこれです。
ただ、このトゲトゲが引っかって取れないというのは、毒針が人間や動物の皮膚に刺さった場合の話で、昆虫が相手だと引っかからないみたいです。
なので、昆虫同士の戦いならば針を使っても死にません。
使うと死ぬのは相手によるのです。
そんな働きバチの針ですが、基本的には巣や自らの身体に危険が迫ったときだけにしか使いません。
外敵にしか向けない武器だということです。
なので、人が普通に生活している分にはミツバチに刺されるということはそうそうありません。
刺されたときの対処法
でも、もし刺されてしまった場合には、毒針を抜く必要があります。
刺さると抜けない仕組みになっているので、たとえ刺したミツバチを潰したとしても、肌に毒針が残されるからです。
そして、この毒針は可能な限り速やかに抜く方が良いです。
ミツバチの針には毒の袋がついていて、主人がいなくなっても敵に毒が注入し続けられるようになっているからです。
早く抜かないとどんどん毒が体に入ってきてしまうのです。
さらに別記事でも書いていますが、働き蜂は針を出すときに仲間に危険を知らせる匂いを出すので、針をそのままにしておくと追撃、他の蜂に刺される可能性が高いです。
なので、刺されたときは可能な限り速く針を抜く方が良いです。
その際、普通に指で針をつまんでも抜くことはできますが、毒の袋を摘んでしまうとムニュッと余計な毒が出てしまうので、なるべくなら薄くて平たいものを使って、こそぎ落とすようにしてやると良いです。
カード状のもの、クレジットカードやポイントカードみたいなやつですね。
なんなら爪でも良いです。
ちょっと手前の肉に当てて、刺されたところを引っ掻くようにして針を抜きます。
女王バチの針
次に女王バチの針です。
あまり知られていませんけど女王バチにもちゃんと針があります。
女王バチの針は長くて返しのトゲトゲがついていません。
なので、何度でも使えますし使ったから死ぬということもありません。
そんな女王バチの針ですが、向ける相手も決まっています。
他の女王バチです。
ミツバチの習性として、巣が大きくなると分蜂(巣別れ)をします。
元々いた女王バチと群れの半分のミツバチが新天地を求めて旅立つのです。
この分蜂で古い女王バチが旅立ったあとに、残された巣では新人の女王バチ同士が戦いを始めます。
今後、女王として君臨するのが誰かを決めるのですが、女王バチの針はそのバトルのときにだけ使われます。
まあ、女王バチってのは基本巣から出ないし、外敵が来ても戦うのは働きバチですからね。
身内の喧嘩にしか使いようがないというわけです。
雄バチの針
最後は雄バチの針です。
でも、実は雄バチには毒針がありません。
毒がないのではなく、針そのものがないのです。
蜂の針というのは産卵管が変化したものなのでメスにしかないものだからです。
ちなみに女王バチも働きバチも両方ともメスです。
ミツバチのオスは働かないのですが、戦うための武器すらもっていないのです。
メスに食べさせてもらい、メスに守ってもらう。
己の存在価値は交尾のみ・・・ 潔いヒモっぷりです(笑)
さらっと書いてしまいましたが、蜂はメスにしか針がないって結構「ええぇっー!!」な話ですよね。
私もミツバチを飼い始めるまで、まったく知りませんでした。
蜂の代名詞である「毒針」はメス限定の武器であり、オスには針そのものがない。
だから、蜂で刺すのはメスだけでオスは絶対に刺さないのです。
これはいつか何かの役にたつかもしれないので、覚えておくといいと思います ^ ^
ちなみにスズメバチも同じですよ。
毒針があるのはメスだけで、オスには針そのものがないです。
だから、おっかないスズメバチもオスだったらお触りOKです。
まあ、オスを見分けられればの話ですがね(笑)
まとめ
ここまでの話をまとめると
- 俗にいう「ミツバチは刺すと死んでしまう」は働きバチのこと
- 女王バチは刺しても死なない
- 雄バチに至ってはそもそも針がない
こんな感じになります。
蜂の毒針はメスにしかないということは一般の方は意外と知らないと思います。
よかったら痛みのはなしとセットで話のタネにでもしてください。
以上、意外と知らないミツバチの針の話でした。
では、また^ ^